人間学群の教育が目指すもの

教育の理念

筑波大学人間学群は、筑波大学の開学と同時に創設された人間学類(教育学主専攻・心理学主専攻・心身障害学主専攻)の改組により、教育学類・心理学類・障害科学類によって構成される新学群として発足しました。

人間学群の三つの学類では、それぞれ次のような人材の育成を目的としています。
教育学類:現代社会が求める教育学的専門知識を有する人材、すなわち、(1)地域、学校、自治体、そして国際機関など、さまざまな分野において、教育の専門家として活躍できる人材、(2)教育研究者を志望する人材を養成する。
心理学類:人間の心と行動に関する幅広い興味や関心を基盤に、人間の心や行動を科学的実証的に分析し、理解する姿勢および専門的な知識や技能を身につけ、これらの学習成果を生かして、実際的な問題を主体的かつ創造的に解決する力を持つ人材を養成する。
障害科学類:障害に留まることなく人間を深く理解し探求する心を持ち、すべての人が共に生きる社会の創造に貢献できる実践力や研究能力を有する人材を養成する。
各学類の教員は、これらの目的を達成するために、教育課程の編成や授業の工夫、学生の指導に日々努力を重ねています。そして、人間学群では同時に、三つの学類の枠に囚われない、学類の枠を超えた連携も大切にしています。

人間学群の目的は、「現代社会が求めている人間についての深い理解と発達支援を行うことのできる人材を養成する」ことにあります。そして、このような人間サービスに従事する人材に必要な資質・能力は、教育学・心理学・障害科学の三つの学問を総合的に学ぶ中でこそ育成される、われわれはそのように考えています。例えば、学校の先生になろうとしている人、このような人には教育学的な知識・技能だけではなく、生徒の心を理解する力や障害のある生徒を理解する力、すなわち、心理学的な知識・技能や障害科学的な知識・技能が必要不可欠です。人間学群の教育システムは、学生が人間について総合的に学ぶことを可能にするシステムとして構成されているのです。
人間学群の授業は少人数が原則です。授業では常に自らの考えを持ち、それを教員や他の学生に明確に伝えることが要求されます。決して楽ではないそれらの授業、しかしそれらの授業に参加することで、学生は鍛えられ、人間に対する深い理解が可能となります。学生が成長するために、教員は支援を惜しみません。それは、全教員が、発達支援を行うプロであるという責任を自覚しているからです。

人間学群は、人間と人間がかかわる社会・自然に対する幅広い興味と関心を有する人であれば、誰でも歓迎します。ぜひ一度、学園都市・つくばを訪問し、あなた自身の目で人間学群の実態を観察してみてください。


教育の方針

人間学群では、先達の築いた伝統を真摯にうけとめつつも、新たな時代における国際的、または今日的な課題の解決に貢献する人材の育成に努めています。そのために、私たちは、とくに、次の三つの点を重視しています。

第一は、学群共通科目です。人間学群の学生は、学類横断型の科目の履修を通じて、各学類の基礎専門科目の共修、人間学、キャリアデザイン、人間フィールドワークに関わる基礎的、実際的な学びを修めます。たとえば、人間学では、これからの新しい社会における人間のあり方や生き様について学問的に追究していきます。また、キャリアデザイン入門(必修)では、多様な分野で活躍する卒業生を招聘し、毎回現実社会における様々な問題やその解決への姿勢・熱意を教授いただいています。人間学群の学生は、卒業後に実に様々な分野に進みます。教育学・心理学・障害科学に関する研究者や高度専門職を目指した大学院への進学や、公務員・福祉職、企業への就職などです。多様なニーズを有す人間学群の学生にとっては、自らの将来を展望する上で有意義な科目です。

第二は、少人数の指導体制による、きめ細かな指導の実現です。人間学群の学生定員は、一学年120名です。筑波大学に9つある学群の中でも2番目に小規模の組織です。これに対して、学群の構成教員は幅広い分野にわたる十分な人数の教員が対応しますので、きめ細かな指導を行う環境となっています。加えて、1年生から4年間持ち上がる担任制度により、学生の学修上、あるいは生活上の悩みにも速やかに対応できる体制となっています。

第三は、学内外の資源を活用した指導の実施です。筑波大学は、教育学、心理学、障害科学に係る学群(学士課程)から博士後期課程までを有する、全国で数少ない大学の一つです。人間学群での基礎的専門性の学修を、博士前期課程、そして博士後期課程へと誘い、一貫したカリキュラムの下で専門性の高度化と学際化の実現を目指しております。また、筑波大学では、小中高等学校などの普通附属6校、附属特別支援学校5校を擁しています。これら附属学校は、大学での理論の学修を、実践や応用へと架橋する貴重な場です。附属学校での学習機会を積極的に導入して、教育研究の深化に活かしております。そして、最近では、海外の協定校との交流も積極的に取り組んでいます。2014年から毎年、学群教育の国際化の一環で、ベトナムのホーチミン市師範大学、中国の東北師範大学と韓国の釜山大学、ロシアのモスクワ市立教育大学、台湾の嘉義大学、米国オハイオ州立大学を、希望者を募って訪問しました。訪問先では、各大学の学生と交流したほか、各大学に関連の幼稚園、小学校、障害児学校等の施設などの教育について視察を行い、意見交換を行って学生の視野を広げています。

人間学群の学生は、明るく、快活に学ぶ姿が印象的である、といわれます。私たちは、「人間」を学び、そして「人」に学ぶ、真摯な学生を迎え、ともに未来の希望を語ることを大切にしています。

(文責:前人間学群長 綾部 早穗)