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プログラムリーダーからのメッセージ

障害科学学位プログラムは、筑波大学大学院人間総合科学学術院人間総合科学研究群の学位プログラムとして、2020(令和2)年4月からスタートしました。

障害科学は、あらゆる障害の分野を研究対象とする学際的学問領域です。現在は、医学・生理学、心理学、特別支援教育学、障害福祉学等の各分野を専門とする教員が協働して研究と教育をおこなっている全国の大学院の中でもユニークな専攻です。

 

筑波大学の障害科学研究の系譜は、視覚障害教育・聴覚障害教育の探究と教員養成の端緒としての東京盲唖学校(現 筑波大学附属視覚特別支援学校・聴覚特別支援学校)の教員練習科の設置(1903(明治36)年)と、知的障害教育の探究と教員養成の端緒としての東京高等師範学校附属小学校(現 筑波大学附属小学校)の特別学級設置(1908(明治41)年)の2つからたどることができます。1951(昭和26)年には、日本初の大学の専門学科である東京教育大学教育学部特殊教育学科が設置され、1953(昭和28)年には大学院教育も開始されました。1966年(昭和41)年からは肢体不自由教育講座も加わり、1968(昭和43)年には特殊教育学専攻博士課程が開設されます。

 

その後、総合研究大学である筑波大学の発展とともに、障害科学は、早期教育・療育や卒業後の移行支援・生活支援等へと守備範囲を広げながら、障害のある人のライフステージ全般にかかわる基礎から応用までの多様な研究を含む学際的学問領域となりました。

 

障害科学学位プログラムでは、次のような目的のもとに研究指導を中心に据えた教育を提供しています。

・障害に関連する多様な課題に即した先進的研究を行うとともに、グローバルな視点に立った障害科学関連分野における先導的教育を行うことのできる研究者を養成すること

・国内外のリーダーとなりうる有能な高度専門職業人を養成すること

 

前期課程では、障害に関わる、生涯の教育・福祉的支援、行政、国際協力等への貢献を志す人材で、研究者や高度専門職として、この分野での活躍に意欲のある皆さんの入学を期待しています。障害科学以外の分野を専攻してきた皆さんも歓迎します。

後期課程では、障害科学に関わる知識と研究の能力を備え、国内外の最先端の研究に強い関心をもち、将来、障害に関わる教育、福祉、臨床、行政、国際協力等の分野における研究者ならびに高い研究能力を有する専門職業人をめざす皆さんの入学を期待しています。

 

障害科学学位プログラムの教員・学生・修了生のネットワークの広がりが、障害科学研究と実践の拠点を形成し、皆さんとともにこの学問領域と社会の発展に寄与できることを楽しみにしています。

2024.4.1
障害科学学位プログラム プログラムリーダー
米田 宏樹

 

概要

障害科学学位プログラム(後期課程)では、障害を有する人の特性の理解およびそれに伴う困難さの克服・解消に向けての研究を自立的に遂行し、その成果を国内外に向けて発信できる研究者の育成を教育目標としています。専門的な領域として、視覚障害、聴覚障害、知的・発達・行動障害、運動障害・病弱、音声・言語障害、障害福祉学、障害原理論の7つの専門分野を設け、それぞれの領域で卓越した能力を発揮できる研究者を育成することを目的としています。原理から実践まで幅広い領域の教員によって広範囲の障害科学の関連分野をカバーしつつ、将来を見据えた見識によって国際的にも通用する研究者・高度専門職業人を社会に送り出します。

学位

博士(障害科学)

学習内容

障害科学学位プログラム(後期課程)では、共通必修科目として「障害科学研究実践法」を開設し、教授法の習得のために、障害科学類の学生への実習指導を教員のスーパーバイズの元に行う機会を設けています。選択必修の「視覚障害学」「聴覚障害学」「知的・発達・行動障害学」「運動・健康・高齢障害学」「音声・言語障害学」「障害福祉学」「障害原理論」の各講究I〜IIIでは、それぞれの障害や領域に関連した先端的な内容を教授します。
また、学生の将来の志望に基づいて以下のような2つの分野を設け、授業や研究指導において各分野の内容に関わる事項を教授・指導します。学生は次のような展望を持ちながら、博士論文の作成に当たることができます。

  • 障害基礎科学分野・・・障害種別を中心とした学際的な研究・教育者養成を目指します。具体的には、障害科学関連分野における先端的な研究及び先導的教育を行うことのできる研究・教育者、最先端の障害科学を先導し、かつ現代的課題に対応する研究能力を備えた研究者、博士の学位を有する研究者(大学教員、研究所研究員等)を目指します。
  • 障害支援分野・・・現代的課題である障害者・高齢者等の諸問題に柔軟に対応する実践的研究能力を備えた高度専門職業人の養成を目指します。具体的には、教育・福祉・リハビリテーション等の領域において、高度専門職業人として研究・教育・指導に当たる人材、高い問題解決能力をもつ障害関連の高度専門職業人、高い研究能力をもつ高度専門職業人を目指します。

論文指導体制

博士論文作成のための研究指導は、複数教員による指導体制(主指導教員1名と副指導教員2名)により行い、博士号取得に向けての指導・支援を充実させています。