河野禎之助教(障害科学域)、徳永智子准教授(教育学域)を中心とした研究グループが、2022年からカルティエ ジャパンとの共同研究にもとづく成果として、「職場でDE&Iを進めるためのワークショップの手引き―企業と大学との3年間の協働から」を公表しましたのでお知らせします。
【はじめに】
私たちの研究グループでは、2022年にカルティエ ジャパンと共同研究 を開始し、「次世代を担う学生との協働によるDE&I(Diversity, Equity and Inclusion)に基づく居場所研究」というプロジェクトを進めてきました。
今回、その成果の一環として、筑波大学およびカルティエ ジャパンそれぞれで開催してきたワークショップに関するノウハウをまとめた手引きを作成し、公表することになりました。
【経緯】
研究プロジェクトでは、大きく2つの目的を設定して活動を進めてきました。
1つ目の目的は、多様な学生が安心して学ぶことができる大学キャンパス、あるいは働きたいと思える職場環境に関する構成要素(「居場所」と感じられる環境の構成要素)を明らかにし、その測定尺度を開発することです。
こちらは現在、国内外の先行研究をレビューしたり、後述するワークショップの参加者の発言やインタビュー等をもとに開発作業を継続しています。
2つ目の目的は、大学内や職場内で安心してDE&Iの理解を広げ、深めることのできる「学びの場」を創出することです。今回手引きとしてまとめたのは、この「学びの場」の創出に関わる成果です。
私たちは、プロジェクトの1年目に、筑波大学の研究者や学生が中心となり、第1回は「多文化共生」、第2回は「ジェンダーと障害」を大きなテーマとした、学生と社会人(カルティエ ジャパン社員)がともに参加し、学び合うワークショップを企画・開催しました。
そして2年目と3年目には、舞台をカルティエ ジャパンに移し、有志の社員のみなさんを中心として結成されたチームが中心となり、新たにワークショップを企画・開催しました。
ワークショップを企画・開催するうえでは、「どうすればDE&Iのより本質的な理解を広げることができるか」や「参加者が安心して学び合うことのできる場には何が必要か」等のさまざまな論点が議論されました。そして、開催の度に振り返りを行い、試行錯誤を重ねながら次のステップへと歩を進めてきました。
【成果】
今回の手引きは、私たちが経験したそれらの試行錯誤の成果をまとめたものとも言えます。DE&Iを学ぶ場をどのようにつくればよいのか、何に気をつければよいのかといった疑問やモヤモヤを感じている方には是非手に取っていただき、少しでも参考にしていただければ大変うれしく思います。
手引きを冊子で入手希望される場合は以下よりご確認ください。
https://bit.ly/3YAZo8I
PDFおよび冊子は、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの「表示-非営利-改変禁止 4.0 国際」に準拠しています(This work is licensed under CC BY-NC-ND 4.0)。