2022年10月1日より、障害科学域の佐々木銀河准教授が研究代表者を務めるプロジェクト「神経多様性に応じたチャットボットの地域連携モデルの構築および他対象・多地域展開」が、社会技術研究開発センター(RISTEX)の実施する研究開発プロジェクト「SDGsの達成に向けた共創的研究開発プログラム(ソリューション創出フェーズ)」に採択されました。協働実施者として筑波大学DACセンター業務推進マネージャーの竹田一則先生(人間系教授)も参画いたします。
この研究開発事業はSDGsの達成に向けて、複合的で幅広いテーマの地域課題に対して既存技術シーズを活用した即効性のあるソリューション創出やソリューションの他地域展開を目指す研究開発プログラムとなります。特に、「ソリューション創出フェーズ」では、シナリオに基づいて研究開発を行い、地域における実証試験を経て課題解決策の有効性を示すとともに、他地域に展開するための適用可能条件や環境設定も提示します。また、研究開発プロジェクト終了後の自立的継続のための計画(事業計画)の策定と、計画実行の準備を行っていきます。複雑化する地域社会課題を解決するためのステークホルダーとの共創的な研究開発を通じてイノベーティブな生きた知見を創出し、社会をトランスフォームするために研究開発を推進していきます。
【プロジェクトの概要】
<解決すべき社会課題・ボトルネック>
茨城県南・つくば地区を始めとして、全国の各地で、発達障害のある人への差別や偏見を解消し、必要な支援を利用するための情報を多様な情報源から取得できる、環境整備が求められている。また、全国的に既存の障害者支援は、障害の診断に基づき決定されることが多いため、診断書はないが何らかの発達障害の可能性のある人に、支援機関からアウトリーチすることが難しい。つまり、「発達障害の診断がなく、適切な対応にアクセスできていない人への適切な対応の提供」が社会課題である。
<提案の概要>
研究代表者らが開発する「ダボット:ダックスさんの相談室」は大学生年代を中心に、定型発達から発達障害まで連続する多様な神経特性(神経多様性)のある人に有益な対処法の情報を自動提案するチャットボット(人工知能による自動応答システム)である。本プロジェクトは、ダボット利用者の困りごとを定量的に評価し、地域の支援サービスにつなぐ機能を実装することで、地域連携モデルを構築する。また、高校生、社会人などライフステージの異なる他対象に応じてダボットをカスタマイズするとともに、全国の多くの地域(多地域)に展開できる事業実施体制を構築する。
<他地域への展開想定>
全国的なネットワークを持つ団体が協働実施者やプロジェクトメンバーとして参画・情報発信するとともに、岡山県、秋田県を始め、各地域のステークホルダーが参画するプラットフォームを構築し、多地域展開を推進する。
【関連リンク】
国立研究開発法人科学技術振興機構「社会技術研究開発事業における2022年度新規採択プロジェクトの決定について」
https://www.jst.go.jp/pr/info/info1580/index.html
SuccessAbility Lab.(筑波大学人間系 佐々木銀河 研究室)
https://successability-lab.com/project/